ヨーロッパ北部で人気が広がっている「ビーチレース」を日本で初開催!ということで、SHIDOからはレジ番含めて3名が九十九里浜で行われたBEACH CROSS Crit 99に出場してきました。結果はレジ番、オープン女子カテゴリーで優勝、チャンピオンジャージをもらって帰ってきました。とても楽しい砂浜レースの様子をレポートします。
ビーチレースについて
波打ち際は空気抵抗を減らすために集団走行、砂がふかふかになっているセクションはスキル勝負、機材のセレクトも含めて、ビーチレースは様々な要素の組み合わさっていてそれが魅力です。
決められた周回数を制限時間内に完走する競技になります。
今回はビーチライフin九十九里町という海水浴以外の楽しみを体感して「通年ビーチを活用しよう!」という主旨のイベントのプログラムの1つとして開催されました。ビーチレースの他にもビーチバレーやビーチサッカーなど砂浜で楽しめるスポーツのスクールをしていたり、ステージではダンスやライブが行われていていました。スタート時にはステージ発表をしていた子どもたちが応援に来てくれたり、会場全体がとても和やかな良い雰囲気で楽しめました。
コースについて
九十九里といえば長い砂浜。ビーチレースの1番のコースの特徴は波打ち際の長いストレートだったと思います。砂が水分を含んで締まっているので気持ちよくスピードを出すことができて、爽快感が素晴らしかったです。ローケーション最高です。
長い波打ち際と同じくらい特徴的だったのが、ふかふかの砂浜のセクション。波打ち際から折り返して海と並行するように砂浜を走り、フィニッシュラインに向かって登り基調となります。ここはテクニックもパワーも必要で全て乗車でこなすのはかなり大変です。
繋ぎにはドロップオフ、砂利のグラベル、舗装路などがあったりして、そのあたりはシクロクロスのコースと似ている部分でした。
機材について
ざっと参加者のバイクを見たところ、シクロクロスやグラベルロードで参加している方が1番多く、次にMTBが多かったように思います。ルールでの車両規定としては33c以上のタイヤであることとされ、推奨するのは40〜60cとなっていました。また、機材交換ができないのでトラブルが起きにくいセッティングにすることも大事です。
今回のレジ番バイクはシクロクロスバイクに太めのセミスリックタイヤという選択で用意しました。
バイク:LIV Brava
ホイール:ROVAL TERRA CLX
タイヤ:CADEX AR 40C 1.2bar
ケミカル:WAKO’S CHAINLUB Liquid Extreme
ビーチレースのために砂対策として意識してセッティングしたのはこのあたり。
タイヤはCADEX ARにしました。ノブのパターンが砂向けなのと、何よりも重量がカタログ値425gで同じような仕様の他製品と比較して軽量なところが決め手になりました。チェーンルブは汚れがつかないワコーズエクストリーム。砂がつくとだんだんチェーンが浮いてきてしまって、しっかり歯に噛み合わずチェーン落ちのリスクが高まるので、砂レースには汚れがつきにくいものがマストです。
他にはシクロクロス仕様の時はフロント38Tを使っていますが、波打ち際の軽い路面対策でフロント40Tリア11-32Tにしています。フロントの変更はスピードを出せる区間でのかかりが良くなるので正解でしたが、リアはもう少し軽いギアを入れた方がレース後半の脚がなくなってきたときに助かったかもしれないです。
レースについて
朝と昼で2回試走をしてレースに臨みました。朝の試走では砂が締まっていてほとんど乗車で走り切れましたが、昼の試走では砂が乾いたのと午前のレースで耕されたことでふかふかになってしまい、難易度が上がっていました。レース中もどんどんコースコンディションは悪くなっていくはずなので、スタート前は8.5周もすることに不安になっていました。完走することを第一に脚を攣ったりして途中でストップすることがないよう、序盤の元気なうちも少しペースを抑えめでいこうと決めました。
タイヤの空気圧は1.2barにしましたが、レース時間がふだんのシクロクロスよりも長く、気温の変化もあるため、レース中に空気圧が上がってしまっていました。狙った空気圧よりも気持ち低めにセッティングすることも考えた方が良かったかもしれないです。あと気温の変化以外にも潮の満ち引きなども調べておいた方が「この後もここ走れるのかな?」なんてことを走りながら考えずに済んだな…とレース中に思いました。
スタートはオープン男子の後ろにオープン女子が並び同時スタートの混走でした。早めに招集されたのでスタート地点でのんびりしていました。広めのコース幅いっぱいにん並んでいるのでなかなか迫力があります。
スタートループだけは海に向かって砂浜を駆け下り、波打ち際を走るレイアウトになっています。一部で落車もありましたが、巻き込まれることなくスタートできました。周りの男子選手たちはどんどん進んでいきますが、ついていこうとすると8.5周もするのに強度が上がりすぎてしまうため淡々といきます。
幸い前後に選手がいつもいたので適度な集中でレースを進めていけました。中盤に先頭にラップされるようになったら、波打ち際やグラベル区間のストレートで抜かされたときは後ろに付かせてもらったり、回せるときはローテを回して楽させてもらいました。海風がずっと吹いていて風がある中で速度が30km/hを超える時もあるので、トレインを組めそうなときはしっかり組んだ方が良いです。
レース後半になると予想通り砂の上のラインが消えてふかふかになってしまい、ランの時間が長くなってしまいました。砂浜でランをするとかなり体力を削られるので、終盤に向けてラップタイムが1分ずつ遅くなってしまいました。グラベルバイクやシクロクロスバイクではラインのない砂を乗るのはかなり大変ですが、MTBの人たちはしっかり乗れていたので、機材チョイスによって走り方が変わるものだと実感しました。波打ち際はシクロクロスやグラベルバイクに、ふかふかの砂浜区間はMTBにそれぞれアドバンテージがありました。MTBは砂浜区間を乗車できるため、体力の温存がしやすいとも思いました。
レース後半はなかなか苦戦しましたが、レース時間1時間47分で女子カテゴリーでは1番にゴールできました。応援してくれた皆さん、一緒に走ってくれた皆さん、ありがとうございました。
1周4km弱、8.5周約31kmのうち80%がサンドセクションというコース設定はかなり走りごたえがあり、走り終わった後の達成感も素晴らしかったです。ゴール後にFinisherタオルをかけてもらいましたが、本当に完走した人みんなを称えたくなるレースだったと思います。
より上の順位を求めて走るのはもちろん、完走を目指して走るのもいいと思いますし、繰り返し同じ場所を通るのでシクロクロスの砂練としてもいいと思います。オフロード種目でチャレンジングなことをしようとするとアドベンチャー色が強かったり、怪我のリスクが高まってしまい、一歩踏み出すことに躊躇してしまうこともあると思いますが、ビーチレースはそういった面でも機材の選択肢の幅広さという面でも挑戦しやすいのではないでしょうか。会場全体の雰囲気の良さもあって、とても楽しい1日になりました。
初開催というのはとても大変だったと思いますが、こうして素晴らしいイベントを作り上げてくださった主催者、運営スタッフの皆様、ありがとうございました。来年も開催予定とのことなので、今年の経験を活かしてまた挑戦したいと思います。
Photo Keisuke Akimoto
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